気のすむまでバケツ2杯分くらい

漫画の感想を書いていきます。主にBL 漫画 たまにBL 以外の漫画と小説も。

VOID

 コヨーテの作者ということで作者買いです。座裏屋蘭丸さん。間違いないだろうと思い。

VOID-ヴォイド-

VOID-ヴォイド-

 

 

あらすじ 

マキの元にやってきたヒューマノイドのアラタは、容姿と記憶の一部をコピーしたハイスペックな【愛玩タイプ】。 しかも最初に見た人間を好きになり依存する【すりこみ機能付き】。 すりこみ機能により愛情を示すアラタを、マキは嬲るように抱く。 「ちゃんと愛して欲しい」とアラタは涙目で訴えるが、マキの心には決して融けない「永久凍土」があり……。 描き下ろし50ページ超収録!ロゴにメタル箔押し&表紙にエンボス加工を施した豪華装丁! 総ページ数200P超の大ボリュームの完全受注生産の18禁コミックスです。

 (Amazonの商品説明引用してます)

 

感想

やはり間違いなかったです。絵もお話も素晴らしかった!

ヒューマノイドだとか、SF的世界観はありますが、コヨーテ同様にそれ程頭であれこれ考えなくてもスッとストーリーに入っていけます。全然強引な感じじゃなく、すごく自然にSF設定を受け入れられるんですよね。絵柄的にもそういった世界がすごく合う。設定に負けてない。本当に上手いなぁと感心してしまいます。

それから、座裏屋さんの描くエロはとても芸術的というか美しさを感じます。ただ、このお話は前半部分からエロ満載なんですけど、前半部分のエロシーンは萌えとか興奮よりも、悲しさを感じました。エロシーンが残念って意味じゃないですよ。主人公のマキに感情を寄せるとものすごく悲しいエロシーンなんです。さらに読み進めてマキの過去を知った後にこの部分を読むと悲しさが増します。

だけどその悲しい絶望的な状況から、まさに氷が解けていくような感覚でハッピーエンドへ向かってくストーリー展開。マキが、レンとアラタを少しずつ違う人間だと感じ始めていく過程、アラタって名前を呼ぶ度に、もうレンと重ねていないんだなと読んでるこっちも感じられるんです。 

座裏屋蘭丸さんのセンスの良さは漫画の随所に散りばめられていて、

例えば冒頭の、葬儀のシーンで棺が運び込まれている描写のあとに、アラタが入った箱がマキの元へ運ばれてくるシーンがくるんですけど、レンの入った棺とアラタの入った箱が対比になるような演出だったり、

「すりこみ」設定があるから後ろを向けと言われた前半と、最後の「後ろを見てみろ」

 というセリフもうまーい具合に対比になっていて、なかなかニクイ演出なんですよねぇ。レンは鳥嫌いだけどアラタがバードハウスを作ろうとする所なんかも良いですよね。

作者は映画をたくさん観られる方なのかもしれないなぁと勝手に想像してます。すごく良作の洋画にありそうじゃないですか。

悲しみから甘い甘いハッピーエンドへ向かう幸せを感じました。心が救われる作品です。読んで良かったなぁ。