宇田川町で待っててよ。
秀良子先生の作品では「リンゴと蜂蜜」が大好きなんですが、
この「宇田川町で待っててよ。」発売当時は、秀良子さんの新刊だ!!とわくわくして読んだものの、あまりピンとこなくて、引越しの時に、一度本を手放してしまったんです。
この間、同作者の「STAY GOLD」新装版に、宇田川町〜の番外編が収録されていると知り、STAY GOLD読みたいけど、どうせ買うなら宇田川町の番外編も楽しみたい…というわけでもう一度、「宇田川町で待っててよ。」を読み直そうと思った次第です。
この漫画、評価がものすごく高いんですが、もしかしたら好みが分かれる作品なのではと思っています。私には、感情移入するのがちょっと難しかった。
というのも、この漫画の恋愛は少し典型から外れるというか、普通の甘い恋愛ものを期待していると、ちょっと違う。癖が強くて、息が苦しくなってきそうなくらい、シリアスで…。人間の、心の奥の見てはいけないものに焦点を当てたような物語なんです。
作中でも、百瀬が何度も
「どうしたらいいんだ?」と問いかけている場面があるんですが、
どうしたらいいのか、未知すぎて本当に誰にもわからない恋愛だと思います。
あらすじ
「どうやらあいつは女の服を着ていると俺に抵抗できない」渋谷区宇田川町――人通り多い街中で、同級生・八代の女装姿を目撃してしまった百瀬。気になった彼は八代をナンパする。一方、百瀬の熱の籠もった視線をそらせない八代は渡された女子高の制服を着て彼の前に立つが……!? 純粋かつ扇情的! 臆病な女装男子と一途すぎる男子高校生の不器用で青いラブストーリー!
感想(ネタバレ含む場合があるので未読の方ご注意を)
最初読んだ時は八代の二面性がよくわからなかったんですが、どうも読み解けていなかった箇所があって、もう一度読んでわかりました。
たまーに他のBLでも女装するのってあるけど、今まで読んできた女装ものとは全然違う!女装がただの趣味とかではなく、八代の内面の欲求を表してるんですよね。
可愛い女の子とばかり付き合ってきたのも、なるほどなぁと。
自分を受け入れるのか、受け入れないのか…八代の自分の性への戸惑いが、ものすごく生々しく繊細に描かれていて、こういうのってBL以前に純文学なんかで描かれそうな主題ですよねぇ。
百瀬はちょっと強引すぎて、土足でズカズカ八代の心に入ってくる感じで
ちょっとデリカシーなさすぎじゃない?みんなにバラすぞって!そういうの弱みに付け込んで無理矢理ーみたいなの全然萌えないわよ!?
…と思っていたら、それもまた読み返すごとに違う面が見えてくるキャラでした。
好きだと思ったものにはほんとにど直球。初めはねちっこくて気持ち悪く感じるんですけど、百瀬、何回か読んだらイケメンに見えてきたよ…!!
途中途中は、2人の噛み合わない歯車が辛くて、もしかして幸せになれない話なのか、、と感じるんですけど、最後はものすごく良かったです。 映画みたい。
これ書いてる途中で知ったんですけど、既に映画化してるんですね!
…それにしても、Amazonのレビューがどれも秀逸すぎます!!
自分が何を書いてもちゃちく思える!みなさんすごいー!